ウェディング姿の中で唯一、20分間の挙式のみに使われるアイテムがあります。
それはウェディングベール
そこにはある重要な意味が込められています。
古代ローマ時代から有ったと言われるベール。
当時は花嫁を悪魔から守る意味があったと言います。
近年では魔除けと共にベールを上げてキスをする事で正式に愛する人の
妻となった事を示すシンボリックな役割にもなっています。
このようにたくさんの意味が込められたベールには独特の美と花嫁を美しくする
魔力が宿っています。
オリジナルデザインのベールを特注で作った、結婚したばかりの高岡佳代子さん。
高岡さん
「母にベールを下ろしてもらって、主人にベールを上げてもらった時に、
今までとは違う自分になって生きて行かなければならない、と思いました。」
その神秘的な意味合いに魅せられ、ドレスよりもベールにこだわったと言います。
長く伸びたベール、そして大きな刺繍が花嫁の印象をがらりと変えました。
高岡さん
「ベールを自分の中で最高のものとして結婚式を挙げたかったんです。
ベールを際立たせるためにドレスはあえてシンプルなもので
ベール刺繍がより一層引き立つようなものをと最初から考えていました。」
※当社注 挙式後、お客様から当店に頂いたメッセージはこちら
原田
「ドレス姿はベールで決まると言っても過言ではないと思っています。
ドレスだけでは花嫁になれなくて、ベールがあって始めて花嫁になれる。
花嫁姿全体が違って見えると思います。」
⇒ロングベール一覧 |
挙式が行われるたった20分のために使われるベールはどの様に生み出されるのか、
その制作過程を見せて頂きました。
ベールの中でも王道と言われるレース模様。
チュール素材と言う柔らかで繊細な網目模様の布にレースを縫い付けて行きます。
しかし、レース生地はチュール素材と比べて厚みがあるため注意が必要です。
白猪朝子(しらいあさこ)
「チュール素材がやわらかくて、レースの素材が固くなってしまうと
別々の動きになってしまいます。
それを避けて一体感を出すために糸の引き具合を調整します。」
使用するのは細いナイロンの糸。ポイントは1cm間隔で縫うこと。
これ以上細かく縫うとレースの風合いが固くなってしまい、逆に感覚が大きいとほつれや引っかかりの
原因になってしまうのです。
大きいものでは完成までに数週間かかると言うベール。
魔力を秘めたこの薄い布には
精緻(せいち)な手技(てわざ)が込められていました。
当店にNHKの制作スタッフさんから取材依頼が入ったのは放映の約1ヶ月前でした。
ウェディングドレスと言うテーマのひとつのコーナーでウェディングベールを取り上げるので
ベールについての取材を、と言うお話でした。
正直なところ、「どうして当店のウェディングドレスで無く、ベールなのかな?」
と思いました。
しかし、ウェディングベールはドレス姿をきめるほど重要と考え、
すべてのベールを工房内で手作りしている当店にとってはある意味、名誉な事かもしれません。
また、私の他に紹介されるのは世界的デザイナーの桂由美先生と着物ドレスでは
第一人者の若槻せつこ先生、おふたりとも唯一無二の方です。
そのお二方と並んでウェディングドレス・デザイナーとして紹介して頂いたと言う事は
恐れ多い様な気持ちです。そして大変光栄です。
ベールの制作工程も当店工房の作業風景を使って丁寧に紹介して頂きました。
いい番組だと思います。結婚式と言うものの意味を考えさせてくれる深くて素敵な番組構成だったと思います。
この番組出演を機に、もっともっと世の花嫁さん達のお役に立てるよう邁進して参りたいと思いを新たにしました。
最後になりましたが当店よりの出演依頼に快く応じて下さった高岡佳代子様、番組に大きな彩りを加えて下さいました。
この場を借りて厚く御礼申し上げます。